なぜ、みんな高校に行くの?

私(Kumiko)が担任した生徒の中に、一人だけ成人した(20歳以上の)生徒がいました。彼は通信制で、スクーリングの時だけ学校に来ました。
でも、仕事が忙しくて、なかなか学校に来れませんでした。ホームセンターでアルバイトをしていて、店長からもとても頼りにされていたようです。
彼は中学生の時、何のために高校に進学するのか、その意味が理解できなかったそうです。そのため、中卒で働く(アルバイトする)ことにしたと言っていました。私は、本当に偉いなと思いました。クラスの全員が高校に進学する中、一人だけ違う選択をするということは、とても勇気のいることだと思います。
そして、彼は気づいたそうです。何かの資格を取ろうとすると、高卒資格が求められることが多いことに。それで、高卒資格を取っておく方がいいという結論にいたり、通信制の高校に入学しました。


20歳を過ぎた高校生 | もう立派な大人

私(Kumiko)が担任したとき、彼は3年生でした。進路を相談するための三者面談の時期がやってきました。各家庭に、その案内が郵送されました。彼は私のところにやって来て、どうしても親も一緒に来ないといけないかと尋ねました。
私は、少し考えました。彼はもう未成年ではないし、よく聞くと、学費も自分でアルバイトで稼いだお金で払っていると言います。これと言って、親御さんに来てもらわないといけない理由が見当たりませんでした。みんな三者面談をしているからというのは、理由にならない気がしました。(でも、結構多いですよね。みんなしているからという理由でやっていることって。)念のため、親御さんに電話だけ入れて、彼だけ特別に二者面談にしました。


卒業後は介護の専門学校へ

彼に卒業後どうしたいのか尋ねると、福祉の専門学校に行きたいと言いました。私は、いくつか専門学校の資料を渡し、オープンスクールに行ってみることを勧めました。
しばらくして、彼は私のもとにやってきて、行きたい学校が決まったので、入学願書や必要書類の書き方を指導してほしいと言いました。彼の話を詳しく聞きました。高校の学費だけではなく、専門学校の学費も今アルバイトして貯めていること、彼の家は三世代同居で、お婆様が足が不自由になり、その介護を手伝ったのが介護の道に進みたいと思ったきっかけであることを知りました。私は、彼に、私に語ってくれたことをできるだけ詳しく書くよう勧めました。
彼は本当に自立した青年でした。器用ではないかもしれませんが、地にしっかり足をつけて歩んでいました。私は彼から多くのことを学びました。