社長にもさまざまなタイプがある

これまで、いろいろな経営者の方と話してきました。自分が経営者になるとは思ってもみませんでしたが、若い頃から、経営者の方と話すのは好きでした。今振り返ってみると、何か相通じるもの、共通点を見出していたのかもしれません。
一口に経営者と言っても、自分で会社を始めた創業者もいれば、事業を継承した人(二代目・三代目など)もいます。子会社の社長もいれば(イメージとしては事業部長って感じでしょうか?)、外資系企業の日本法人の社長もいます(イメージ的には日本営業所長?)。それぞれで、タイプが違うような気がしました。
以前、経営学の勉強をしているときに「コンティンジェンシー理論」というのを学びました。唯一最適なリーダーシップ・スタイルというものは存在せず、状況に応じて、望ましいリーダーシップのスタイルは異なるという考え方です。経営者のタイプの違いを理解するのに、助けになるかもしれません。


公務員にもベンチャースピリット?

創業者には、協調性がないというか、他の人と違ったものの見方や考え方をする人が多いように思います。(自分もそうなので、他の人のことは言えませんが…)協調性を重んじる日本の文化の中にあっては、なかなか評価されにくいのかもしれませんが、創業者としては大切な資質のように思います。「ベンチャースピリット」という言葉があります。私(Kumiko)は、大学卒業後、公務員として働いていましたが、自分の中に「ベンチャースピリット」があるのではないかと気づき始めた時期がありました。言葉の具体的な定義は難しく、ここでは論じませんが、当時の私は、慣習や形式にとらわれないでチャレンジする力、新しいものを創造する能力というように受け取っていました。


上司の夢を叶えることができる?

今から10年以上前のことになりますが、ハローワークで働いていた時に、上司が私(Kumiko)にこのようなことを言いました。
「前からずっと、若者向けに単発じゃなくて、継続して交流できるようなことができへんかなって思っているんやけど、今まで誰もやってくれへんかってん。定年も近づいてきたし、定年までにそれを実現したいというのがボクの夢なんやけど、それ、考えてみてくれへんか?」
上司の夢をかなえたいという思いから「ちょっと考えてみます。」と言ったはいいものの、ベテランの先輩たちができなかったことを私にできるのだろうかと思っていました。私ではなく、他にもっとふさわしい人がいるのではないかとも思いました。
当時、ハローワークで開催されていたセミナーは、講師が一方的に話をする講義タイプのものがほとんどで、グループワークなどは、あまりなされていませんでした。
私はある方に相談しました。どうして自分なのか?一体、何からどう手をつけたらいいのか?私にはさっぱりわかりませんでした。
その方と話をするうちに、少しずつですがアイディアが与えられ始めました。そして、何とか、企画書らしきものが出来上がりました。当時、他でそのような企画が実際に行われていたかどうかはわかりませんが、私が知る限りでは、初めての企画でした。


所長の前でプレゼンすることに…

私(Kumiko)はその企画書をもって、上司のもとに行きました。そうしたら、その日のうちに所長室に連れて行かれ、いきなり所長の前でプレゼンすることになりました。
全5回のコースで、アットホームな雰囲気で参加者同士が交流できるよう定員は10名としました。試験的に年度内に2クール実施し、評判が良いようであれば、来年度に予算を確保して、グレードアップしたいと考えている旨を伝えました。
2クールの試験実施については、ほとんど経費もかからないため、所長からすぐにOKが出ました。そして、翌日から私は資料作りに追われることになりました。使用する資料は、一からすべて手作りです。要領があまり良くなかったので、寝る時間を惜しんで取り組んでいました。


自らのベストを尽くして…

セミナーをより良いものとするため、人事歴数十年という方にもサポートをお願いしました。そして、セミナー当日は、社会人1年目の後輩が、私(Kumiko)のアシスタントについてくれました。人々の協力があってこそです。
私が新しいことをしているのを快く思わない人たちもいました。嫌味を言われることもありました。
でも、どうにか2クールを終えることができました。今振り返ってみると、あまり良い出来栄えではなかったかもしれませんが、当時の私には、それが精一杯でした。
「さぁ、来年度は…」と思っていると、私の転勤が決まりました。4月から、違う場所で、全く違う仕事をすることになりました。当時はとても心残りでしたが、私の性格(タイプ)を考えると、それでよかったのかもしれません。